医キリ

「医キリ」

という言葉があり、

「粋がる医学生や医者」ほどの意味である。

世人の知る通り医学生や医者は己の賢さを恃んでおり…さらに「中途半端な体育会系」であることも先に述べた。平均的な医学生や医者はこのようにして己の知力と体力に信頼する浅薄なプラグマティストとなる。そこに医者一族の末裔として億万の金を持ち、己の自家用車、レクサス、アウディ、複数台所持する仕儀となれば…もはやその愚かさは煉獄の全天を焦がすほどに燃え上がるだろう。

そうした愚劣な風土の中で醸成されるのが「医キリ」である。

己を恃み、己と似たような金持ちどもを恃み、他者を蔑む。

医界にあっては麻酔、眼、皮膚、精神などのマイナー科を蔑み、劣等なる他学生を蔑み、現実界にあっては他業を蔑む。彼らが尊崇するのは目に見えるまがい物の金ばかり。

 

はて平成が死に、令和の御代となり、いつまでもアインスタインの言へらく、「人間の愚かさには底がない」わけだが、医キリは次第にその身と魂とを滅ぼしていくだろう。これはある種の私の呪いであるが、しかしながら私にもどうしようもない。